違います。認知症というのは、脳の細胞が壊れることによって、その脳細胞が担っていた精神機能を失い、日常生活や社会生活に障害を来す病態(病気によってもたらされる状態)を指します。認知症は、正常な加齢現象とは別のものですし、歳をとれば誰でもなるというものでもありません。
違います。認知症は脳の細胞が壊れることによって起こる病態だと説明しました。アルツハイマー病は、認知症の原因になる病気です。アルツハイマー病のように脳の細胞が壊れてしまう病気を「変性疾患」と呼び、認知症の原因となる病気の中でもっとも頻繁に見られるものです。アルツハイマー病の他、レビー小体病、前頭側頭型認知症などが含まれます。認知症を引き起こす病気で二番目に多いのが脳血管障害です。脳梗塞、脳出血、脳動脈硬化などが引き起こす脳の血流障害によっておこる認知症を、脳血管性認知症と呼びます。この他、梅毒、エイズなどの感染症、アルコールなどの乱用、交通事故などの頭部外傷でも認知症は起こります。
残念ながら、認知症の原因として最も多い変性疾患(アルツハイマー病など)については予防の方法がありません。二番目に多い血管障害については、高血圧、高脂血症、糖尿病、不整脈などの病気を早いうちに見つけ、治療することで発症を予防できる可能性があります。若い間から、職場の健康診断などをしっかり受け、異常があったら症状が出ないうちに治療しておくことが重要です。
これも残念ながら、今のところ、始まってしまった認知症を根本的に治療する薬はありません。しかし、アルツハイマー病の進行を遅らせる薬はすでに保険診療で使えるようになっていますし、新薬も発売されました。アルツハイマー病の進行を止める可能性のあるワクチンも開発が進んでいます。脳血管性認知症については、血管障害が止まれば認知症の進行も止まるはずですが、現実的にはなかなか困難です。
あります。認知症が疑われたらできるだけ早く専門の医療機関を受診することが非常に重要です。理由の第一は、認知症のように見えて治療すれば治る病気があるからです。こういう病気でも、受診をためらっていると手遅れになって治せなくなる可能性があります。第二に、アルツハイマー病のような根治不可能な病気であっても早期に治療を始めれば、進行を遅らせることによって普通に生活できる時間を長くすることができるからです。さらに、自分で病気のことを理解できるうちに治療を始めると、進行した後の症状が軽くなりますし、患者さんが自分の治療方針について意見を述べることも可能になります。
認知症を初めとする老年期の精神障害について、早期の診断、外来治療から、精神症状・問題行動などを治療するための急性期入院、長期に介護を受けられる施設が見つかるまでの慢性期ケア、終末期の看取りまで医療的ニーズにお応えします。初期の診断では、専門の医師の診察、詳細な心理検査、脳のCT検査、身体疾患のスクリーニングなどを行います。検査の結果はできる限り患者さんにも理解して頂けるような方法で説明をします。アルツハイマー病に対する薬物療法に加え、認知機能障害の進行を遅らせるための認知リハビリテーションも行っています。これらの治療に加えて、高齢者の医療や福祉について専門の相談員が家庭介護や施設介護について相談に応じます。外来で治療しきれない症状の重い患者さんについては入院治療も行います。
物忘れが気になる高齢者は大勢いらっしゃいますが、なかなか専門病院には行けないものです。「年をとれば忘れっぽくなるもの」と片付けてはいないでしょうか。「認知症と言われてショックを受けるのは嫌。病院にはいよいよになったら行けばいい」と思うのが本音だと思います。でも「いよいよ」になってからの受診では、認知症も進み、治療や介護の急激な変化等で、当事者やご家族の負担も重くなることが多いのです。このような混乱を避けるには、早目に診断をして対策を考えていくことが大切です。認知症には治療法やケア方法があることを理解し、環境を整えて適切な治療やケアを行えば、穏やかに過ごしていくことも可能です。早期受診のために、まずは認知症のサインを見逃さないことが大切です。
「認知症」というと物忘れが激しく話の通じない人を想像しますが、初めから重い症状があるわけではないのです。重要なのは以前には見られなかった、生活に支障のある記憶の低下や理解力の低下、情動の変化があるかということです。例えば、
・同じことを何度も言うようになった
・最近の出来事を忘れるようになった
・読み書き計算ができなくなった
・物の名前や人の名前が出てこない
・物を置き忘れる、探し物が多くなった
・日付や曜日がわからない
・時計が読めなくなった
・勘違いや誤解が多くなった
・身の回りのことを構わなくなった
・家事をしなくなった
・意欲がない(趣味や人付き合いをしなくなった)
・怒りっぽくなった(イライラする、被害的になる)
年をとれば誰でも忘れっぽくなりますが、健常な人の物忘れは記憶の一部が欠落するため、手掛かりがあれば思い出すことができます。認知症では記憶の全部が欠落するので、手掛かりがあっても思い出せなくなります。ですから認知症の物忘れは、日常生活に支障が起こり、大事なものを仕舞い忘れたり、誤解や勘違いも多くなるのです。「都合のよいことだけ覚えていて、都合の悪いことは忘れる」と責められることもあるかも知れません。また記憶は子供の頃~若い頃に培われた「長期記憶」よりも、最近の記憶「短期記憶」が失われやすく、仕事や家事など複雑な段取りを考えてする作業が難しくなります。例えば調理や片付け、税金や保険などの社会的手続きなどが難しくなります。また状況の理解や判断力が低下し、詐欺被害にあったり不利な契約を結んでしまう可能性もあります。社会生活上のトラブルも生じやすく精神的にも不安定になるなど、治療と生活上の支援の必要性が高くなります。
認知症には様々な原因疾患があります。進行の過程もアルツハイマーのように徐々に進むものもあれば、脳血管性認知症のように脳の血管のトラブルの度に進行するものもあります。治療には認知症の原因疾患に対する治療、認知症に関連して引き起こされる不安、焦燥、不眠、興奮などの“周辺症状”に対する治療、その他心身の安定、機能の維持、改善のために行われる音楽療法や回想法、芸術療法、園芸療法などがあり、介護保険の通所施設や入所施設などで介護と一体的に行われることも多いです。 認知症が進行するとこれまでできたことができなくなるので、状態に応じて治療や支援の方法も変えていく必要があります。例えば、当初は親族が見守って時に手を差し伸べればよかったものが、家事や服薬管理、金銭の管理が困難になったり、排泄の始末が難しくなると、日常的な介護が必要になります。この時期にはご家族の負担も重くなり、介護サービスの利用が不可欠です。介護者の健康状態や介護者との関係が、被介護者の安定性に影響しやすくなるため、介護負担を軽減して、ご家族(介護者)自身の心身のケアに気を配ることも大切です。
医師、看護師、介護士、作業療法士、臨床心理士、音楽療法士、薬剤師、管理栄養士、診療放射線技師、精神保健福祉士、クラークなどが患者さんやご家族と関わります。
当院では、患者さんをベッドや車いすに縛る、ミトン型の手袋を使用する、鍵をかけて部屋に閉じ込めるといった行為に代表される「身体拘束」は原則として行っておりません。
入院治療の経過を見ながら、今後の生活の場をどこにするのか一緒に考えます。介護サービスを利用しながら自宅に退院される方もいますし、施設(特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・グループホーム・有料老人ホーム)等に退院される方もいます。
ありません。自動販売機(飲料)が1階と7階にありますので、そちらをご利用ください。
日勤は、看護師、介護士合わせて10名~13名、夜勤は3名体制です。その他、各病棟には、入浴介助専門パート、食事介助専門パートの方がいます。
夜勤は、個人により異なりますが、平均5回/月です。
はい。有給休暇消化率は、95%です。お休みは、取りやすい環境です。
看護師、介護士ともに残業はほとんどありません。
はい。看護師の約1割、介護士の約2割が男性です。
はい。採用しています。
はい。資格をお持ちでしたら、未経験でも大丈夫です。先輩介護士が付いて指導いたします。
経験、資格によって異なります。詳しくは採用情報の募集要項をご覧ください。