認知症とは
認知症は一つの病気の名前ではありません。「一度成熟した知的機能が、
何らかの脳の障害によって継続的に低下した状態」が認知症と定義されていて、その原因にはさまざまなものがあります。
1.アルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)に代表される認知症
脳の神経細胞がゆっくりと変化して壊れていくため、神経変性疾患といわれます。このグループの中には、最も患者数の多いアルツハイマー病、幻視やパーキンソン病のような症状が出るレビー小体型認知症、前頭側頭変性症などがあり、認知症全体の4分の3ほどを占めています。神経細胞の変化が緩やかであるため、症状の現れ始めが何となくはっきりせず、進行もゆっくりとしています。
2.脳梗塞や脳出血が原因の認知症
脳の血管が詰まったり破れたりすることから、血管性認知症と呼ばれます。喫煙や飲酒、運動不足などの生活習慣病を改め、高血圧や糖尿病をしっかりコントロールすることで予防が可能です。
3.根本的な治療が可能な認知症
頭部打撲により脳の表面にある細い血管が破れ、血腫となって脳を圧迫する慢性硬膜下血腫。転倒の1~2か月後から急速に認知症の症状や歩行障害などが出現しますが、早期に血腫を除去することで症状はかなり改善します。また、脳の中の脳室に髄液が溜まる正常圧水頭症も、髄液を抜く手術により、早期であれば症状が改善する可能性が高まります。原因となる病気はさまざまですが、早期発見が大原則となります。
認知症は早期発見・早期治療が重要です
認知症は、どうせ治らないから病院に行っても仕方がないと思っている人も多いかもしれません。しかし、他の病気と同じように、認知症においても早期受診、早期診断、早期治療は非常に重要です。例えば、アルツハイマー型認知症では、薬で進行を遅らせることができ、早い時期に使い始めることで良い状態を長くすることができます。そして、ご本人が病気を理解できる時点で受診することで、その後の生活の工夫や将来に備えることも可能です。
また、介護するご家族にとっても、早期診断は大切です。やみくもに介護するより正しい理解のもとに介護する方が余裕をもって対応できます。認知症が進行しさまざまな症状が出現し、困り果ててしまう前に受診することをお勧めします。
認知症についてはよくあるご質問はこちらをご覧ください。